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IT部門/情シスのPMOが、ユーザーのお尻を叩いて感謝される法

2019

12/19

IT部門/情シスのPMOが、ユーザーのお尻を叩いて感謝される法

PMO最大の悩み

「毎回やってこないユーザーをどう扱えばいいですか?」
「毎回、お尻を叩いてください」

IT部門PMOのMさんにそう答えました。

PMOにとって「動かないユーザー」は、最も「あるあるケース」だと思います。

ユーザーに対して強い口調でタスクを催促すると

「そんなに言うならPMOでやってください」

となり困ります。優しく言うと、やってきません。期限を長めに設定すると、完全に放置されます。

Mさんは、プロジェクトで一番年下ということもあり、年配のユーザーを動かす難しさを痛感するのでした。

PMOとして問われるユーザーを動かす力

システム導入には、現場の「ユーザー」がいます。そして、例外なく忙しいです。なぜなら、ユーザーは「現業」を抱えているからです。そのため、現業を優先すると、プロジェクトに時間を割けなくなります。

一方で、現場を改革するには、当事者であるユーザーの動きが不可欠です。ユーザーが動かないと、プロジェクトは進みません。

では、どうすればユーザーを動かせるのでしょうか?

シンプルですが、定例会で「ユーザーのお尻を叩く」です。

まず、「お尻を叩く」という行為を、全員が嫌がっているのでしょうか?

ユーザーには、「協力的なユーザー」と「動かないユーザー」に分かれます。

「協力的なユーザー」は、「動かないユーザー」を嫌っています。表面上は指摘しませんが、PMOにお尻を叩いてもらうことを望んでいます。逆に叩かないと、PMOに対する不信感が高まってしまいます。

「ユーザーの上司」もPMOにお尻を叩いてもらうことを望んでいます。上司も現業で接するため、自らは言いにくいのです。

「経営層」もPMOがお尻を叩くことを望んでいます。プロジェクトで結果を出すことを期待しているからです。

PMOは孤独ではなく、周りからも望まれていると認識するべきです。

では、具体的にどうお尻を叩くのか?

定例会で出た「ToDo」を毎回、確認するだけです。

アジェンダの最初に「前回ToDoの確認」を入れて、完了するまでアジェンダから消えない「仕組み」にします。そして、しつこく確認していきます。

PMOをやっていると

「ああ、このTo-Doはやっていないんだろうな」
「この確認はスキップしようかな」

と思ったりもしますが、そこをスルーせずに必ず確認します。

聞かれる方も嫌ですが、聞く方はもっと嫌です。でも、我慢比べです。

ただし、やっていないことを「感情的」になる必要はありません。淡々と「事務的」に聞いていきます。出来ていなければ、期限を再設定します。

これをコツコツと積み重ねるとどうなるのでしょうか?

ユーザーはPMOに対して「申し訳ない」という気持ちが芽生えてきます。

「すみません~」という自らの言葉が、ユーザー自身に刷り込まれていくからです。すると、ユーザーは徐々に動き出します。

その瞬間を察知して、PMOは少しでも進捗があれば全力の笑顔で

「ありがとうございます!」

と返します。

やる気スイッチの種火に息を吹きかけて、火を大きくする瞬間です。

立て込むように、PMOは会議の設定やアポ取りなど雑務を手伝います。すると、さらに加速していきます。

ユーザーも成果が出ると楽しくなります。プロジェクトの雰囲気も良くなります。もともとの「協力的なユーザー」も動きやすくなります。

お尻を叩いている期間は、恨まれるかもしれません。しかし、状況が好転した後は、必ず関係が良くなります。恨まれた分、プラスへの反動も大きいです。

そのようなユーザーは口を揃えて「PMOがお尻を叩いたのは当然だった」と、後から認めてもらえます。

ただし「後から」です。

年下も武器になる

「みんなでMさんにお尻を叩かれたよね」
「Mさんには俺が一番叩かれたよ」
「優しい顔してしっかりしてるよ」

プロジェクトの打ち上げで、ユーザーが笑いながらMさんを「イジって」いました。

ユーザーはみんなMさんに感謝しています。

Mさんは、毎週のようにTo-Doを再設定して、少しずつユーザーを動かしていきました。途中からは「みんなでMさんを助けよう」キャンペーンが立ち上がり、そこから団結したとのこと。

一番年下のMさんは、いつしかユーザーから可愛がられるポジションとなっていました。年下だから動かせないのではなく、年下も武器になるということです。

もし、今のプロジェクトでユーザーが動かないのであれば、もう少し粘ってみませんか?

その先にご褒美が待っていると分かると、頑張れると思います!

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御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか

情シスコンサルタント
田村 昇平

情シス(IT部門、情報システム部門)を支援するコンサルタント。

支援した情シスは20社以上、プロジェクト数は60以上に及ぶ。ITベンダー側で10年、ユーザー企業側で13年のITプロジェクト経験を経て、情シスコンサルティング株式会社を設立。

多くの現場経験をもとに、プロジェクトの全工程を網羅した業界初のユーザー企業側ノウハウ集『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』を上梓、好評を得る。同書は多くの情シスで研修教材にもなっている。

また、プロジェクトの膨大な課題を悶絶しながらさばいていくうちに、失敗する原因は「上流工程」にあるとの結論にたどり着く。そのため、ベンダー選定までの上流工程のノウハウを編み出し『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』を上梓し、情シスにインストールするようになる。

「情シスが会社を強くする」という信念のもと、情シスの現場を日々奔走している。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。