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デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションをどう自社のプロジェクトにリンクさせればよいか?

2022

8/09

デジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションをどう自社のプロジェクトにリンクさせればよいか?

DXを経営層とどう共有するか

「ウチのDXの状況を報告して」

ある情シスで、急な指令が下りました(苦笑)。

DXはいわば経営方針なのに、なぜ丸投げされるのか?とメンバーはボヤいています(苦笑)。

ですが、これはチャンスです。

もっと情シスが経営の中枢に入り込んで、影響の大きなプロジェクトを実施できるかもしれません。

さて、DX(デジタルトランスフォーメーション)はバズワードですが、実は抽象的すぎて、具体的な内容はイメージしづらいのではないでしょうか。

そこでよく使われる概念が、次の3ステップです。

① デジタイゼーション
② デジタライゼーション
③ デジタルトランスフォーメーション

情シスとして、このDXのステップをどうとらえ、どう推進していけばいいのでしょうか?

DXの3ステップとプロジェクトをマッピングする

まずそれぞれの用語を簡単に解説します。

① デジタイゼーション

紙からデータ、アナログからデジタルへ置き換え。また、デジタルツールを導入し、物理的な制約を排除していきます。

② デジタライゼーション

業務フローや各プロセスの変革。また、データ活用による各業務プロセスの高度化も図ります。

③ デジタルトランスフォーメーション

人・組織を変え、恒久的かつ全体的な構造改革。そして、ビジネスを変革し、社会そのものを変えていきます。
 

つまり、DXにはそれぞれデジタル化のステップがあります。このステップを着実に踏んでいくことで、DXに取り組みやすくなっていきます。

このステップに具体的な施策(プロジェクト)をマッピングすることで、現在の取り組み状況を可視化することができます。また、今後の取り組むべき施策も見えてくるのです。
 

では、次に施策のマッピングを考えていきます。

① デジタイゼーションの施策

・ペーパーレス化施策
紙資料の削減、保管スペースやキャビネ縮小、紙稟議の廃止、会議のペーパーレス化など。

・テレワーク施策
デジタルツール導入(モバイルPC、スマートフォン、タブレット、チャットアプリ、Web会議)、クラウドストレージ、リモート接続/VPN接続、テレワークルール整備、オフィスのレイアウト見直し(フリーアドレス)など

・基幹システムリプレイスプロジェクト(のペーパーレス化)
システム化することによる業務プロセスのペーパーレス化、帳票から画面へ、チェックシートから入力チェックへ、クラウド化

・セキュリティ施策
デジタル化とは直接関係ないですが、あえて入れます。クラウド化による情報資産の散在とデジタル化によるクライアント端末の多様化で、守るべき箇所が増えるため。サイバーセキュリティやデータ流出への対応、社員のセキュリティ教育など。

② デジタライゼーションの施策

・基幹システムリプレイスプロジェクト(の業務変革)
システム化することによる業務フローの刷新、業務プロセスの標準化・自動化・
高度化。

・業務の生産性向上/自動化プロジェクト
自動化ツールの適用(RPA、マクロ、自動化アプリ)、ノーコード/ローコードの実績積み上げ、AI活用など。

・データ集積によるBI活用
経営指標(KPI)の整備、可視化、BI導入、ダッシュボード構築、データ経営のPDCA、原価管理、リソース最適化。IoTデータ収集と分析、顧客管理・営業支援システムの導入など。

・デジタル人材育成・内製化
BIツールやレポート作成、自動化ツール活用などは、フットワークが軽く、密な連携が可能な内製化と相性が良い。徐々に内製人材の増員を検討する。

③ デジタルトランスフォーメーションの施策

ここは、業界、企業によって施策がまったく異なってくるため、あえて抽象的な表現で記載します。

・サービス系業務のシステム化・高度化
既存ビジネスの深掘り。従来システム化が難しかった手作業や人の判断が伴う領域のシステム化。たとえば、顧客対応でエクセルやパワーポイント等の個別ファイルの作成を伴うもの。過去のデータの再利用、AI等による自動化や精度向上、顧客提供の方法やフォーマットの変革、廉価版、即時化など。

・新規ビジネスの創出
新規ビジネスの創出。蓄積・加工したデータによるソリューションや外販、クラウド化・サブスクリプション提供、デジタルとリアルの融合、プラットフォーム事業、社外事業体との価値共創。会社の在り方や業界を一変させるサービス創出など。
 

上記はあくまで例にすぎませんが、自社の施策・プロジェクトを3ステップにマッピングすることで、現在の状況を可視化できます。

そして、その先のステップについて自社で取り組むべき施策やプロジェクトを考える上でのヒントとなっていきます。

(↓サンプル画像はこちら↓)
DXの取り組み状況を経営層に報告するための資料の作り方(サンプル画像付き)

DXの現状と未来を経営トップと共有する

コロナを経験したので、多くの企業は「ペーパーレス」と「テレワーク」に取り組み、ステップ1の「デジタイゼーション」には対応できているのではないでしょうか。

さらに基幹システムをクラウド化し、再構築も完了していれば、ステップ2の「デジタライゼーション」にまで来ていることになります。

ここまではやることが明確なので、計画と予算さえあれば、時間はかかっても到達することができます。

問題はその後。ここから先の取り組みで、会社によって差が出てきます。

見落としがちな「セキュリティ対策」や「人材育成」などは、長期視点で取り組む必要があります。その上で「攻めのIT」の領域であるステップ3の「デジタルトランスフォーメーション」に踏み込んでいくことになります。

貴社の情報システム部門・IT部門では、DXの進捗状況はいかがでしょうか。現状をきちんと可視化して、これから取り組むべき施策を経営トップと合意できていますでしょうか?

関連コラム

御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか

情シスコンサルタント
田村 昇平

情シス(IT部門、情報システム部門)を支援するコンサルタント。

支援した情シスは20社以上、プロジェクト数は60以上に及ぶ。ITベンダー側で10年、ユーザー企業側で13年のITプロジェクト経験を経て、情シスコンサルティング株式会社を設立。

多くの現場経験をもとに、プロジェクトの全工程を網羅した業界初のユーザー企業側ノウハウ集『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』を上梓、好評を得る。同書は多くの情シスで研修教材にもなっている。

また、プロジェクトの膨大な課題を悶絶しながらさばいていくうちに、失敗する原因は「上流工程」にあるとの結論にたどり着く。そのため、ベンダー選定までの上流工程のノウハウを編み出し『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』を上梓し、情シスにインストールするようになる。

「情シスが会社を強くする」という信念のもと、情シスの現場を日々奔走している。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。