2019
3/02
ベンダー選定において、RFPは不可欠です。導入したいシステムが重要であればあるほど、RFPの重要性も高まります。メリットは多くありますが、その中でも重要なものを5つ挙げます。
① 社内要求の統一化
システムを導入するためには、1部署の要求だけで決めて良いものではありません。特に基幹システムとなると、経営層、事業部門(利用部門)、IT部門とそれぞれの立場での要求を「言語化」し、統一することが必要です。
経営層は、「経営戦略」や「IT戦略」の内容をRFPに反映させることができます。事業部門は、現場の「課題解決」や、事業の「高度化」あるいは「競争力確保」のための要求を盛り込めます。IT部門は、「インフラ」の要求や、「運用・保守」あるいは「セキュリティ」など、ITガバナンスをきかせることもできます。
同じ部署内でも、人によって要求が異なります。各個人の要求の「ばらつき」を排除するためにも、口頭ではなくドキュメント化することで、要求の統一ができます。
各部署および個人間の要求を整理して、社内の「統一見解」をRFPとして作っていくことができます。
② 本当に効果的な提案だけをもらう
「的外れ」な提案は最悪です。「お互い時間のムダ」で済めばまだマシで、間違った要求に誘導される可能性すらあります。
目の前の「きらびやかな提案書」に本来の要求を見失い、必要のなかった高いシステムを売りつけられても、もはや正しい判断はできません。なぜなら「要求の軸」がないからです。仮に3社とも「的外れ」だったら、その中から「表面的な優劣」をつけて「誤用」してしまいます。
これはベンダーが「悪徳商法」をしているわけではありません。自社が明確に要求を伝えていないばかりに、ベンダーは「よかれ」と思って提案しているだけです。
そうならないように、自社の要求を明確にして、RFPで定義します。各ベンダーから本当に効果的な提案を受けて、その中から「相対比較」をするのが、本来の「ベンダー選定」です。
「ハズレ」しかない中から選ぶのではなく、「アタリ」しかない中から選ぶ。その状況をつくるために、RFPが必要なのです。
③ 時間効率化
要求が「あいまい」だと、熱心なベンダーは個別にヒアリングしてきます。多くの質問を受け、それに回答するだけでも、かなり大変です。これがベンダーの数だけあると、本当に時間がなくなってしまいます。
そうして頑張ってベンダーの質問に答え続けたとしても、ベンダーの提案には「ばらつき」が発生します。比較しようにも、提案内容が違いすぎるので、横並びになりません。
提案内容をそろえるために、ベンダーに追加で質問し、再提案を促し、それを受けて再び確認する、というサイクルを回し始めると、予定がどんどん遅れていきます。再要求をするたびに「1週間」単位で、時間が浪費されます。
そうならないように、RFPで要求を「ドキュメント化」するのです。ベンダー毎に個別ヒアリング対応や、質問の大量発生を防ぐためです。
また、提案の「項目」を指定し、「要領」も明確に伝えます。提案を「Apple to Apple」で比較し、短期間で効果的な比較を行うためです。
RFPを作ること自体は、かなり時間がかかります。しかし、ベンダー選定の「すれ違い」やシステム導入プロジェクトの「混乱」の方が遥かに時間を浪費します。
本稼働までのスパンで考えると「急がば回れ」で、実はRFPをていねいに作ることが「最短ルート」なのです。
④ 公平性の担保
ベンダーに口頭で伝えると、誰が説明するかによって、伝える要求に「ばらつき」がでます。同じメンバーが説明したとしても、会話は「水物」です。その日の「気分」や「人の相性」などで、話す内容も変わってきます。
ベンダーも「質問の仕方」で得られる情報が変わってきます。場を盛り上げて、「秘密の情報」や「競合の提案状況」を聞き出すベンダーもいれば、口下手で相性も合わずに、ほとんど情報を引き出せないベンダーもいます。それらは、ベンダーの力量というよりは、営業担当者の力量です。
単純に接触する量が多くなれば、ベンダーは引き出せる情報量は多くなります。しかし、それもやり過ぎると配慮に欠けた行為です。営業担当者が「無神経」な人ほど有利になるレースは避けたいところです。
RFPでドキュメント化することで、ベンダーが受け取る情報に差が出ないようにします。質問の仕方もRFPで指定し、ルールを設けます。営業担当者の能力に左右されずに、同じ条件のもとで提案を受け、公平性を担保します。
⑤ 正式な儀式化
口頭だと、どうしてもベンダー側に「軽く」受け止められてしまいます。提案を依頼しても、期限がズルズルと伸びていきます。質問と回答のやり取りもエンドレスで続きます。
そこで、RFPという「堅苦しい儀式」にすることで、要求を正式なものとします。競合他社とコンペするということも伝わります。RFPは、「なあなあ」の空気を排除し、「緊張感」をもってベンダーの提案を受け取ることができるようになります。
RFPを出すのと出さないのとでは、ベンダーの「取り組む姿勢」がまるで違ってくるのです。私はこの効果が、非常に大きいと考えています。
(↓RFPの詳細説明はこちら↓)
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RFIとRFPの違いは?
RFPの5大メリット
RFPを提示する前にNDAを交わす
RFPを出した後に何をやるのか?
(↓RFPのサンプルはこちら↓)
RFP(提案依頼書)の目次の作り方(サンプル付き)
RFP(提案依頼書)とRFP別紙の作り方(サンプル画像付き)
(↓RFPに関するコラムはこちら↓)
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