2022
5/06
RFI時点での現行ベンダーの扱い
RFIを出すときによく聞かれるのが「現行ベンダーはどうすればいいか?」です。
RFIは「情報提供依頼」です。現行ベンダーについては、良くも悪くも、情報はたくさん持っています。「今さら何を収集するのか?」というわけで、RFIは対象外です。この段階では「不戦勝」「シード扱い」です。
現行ベンダーの悪い部分がたくさん見えているから「ベンダー選定」をしているわけですが、ベンダーを変えるから良くなるとは限りません。「変えなければよかった」と悪くなる可能性もあります。
だからこそ、現行を基準として良くなるか悪くなるかという「ベンチマーク」として、現行ベンダーは候補として残しておくべきです。
現行ベンダーも今のまま終わるわけにはいきません。現行ベンダーは、現行業務に詳しい、という大きなアドバンテージを持っています。現在の課題を十分に理解しているからこその、ドンピシャの解決策を提案してくれるかもしれません。
現行ベンダー自身の問題点も真摯に受け止め、改善策を出してくれる場合もあります。
現行ベンダーの可能性
ある介護系の基幹システムリプレイスを支援したときのことです。
このシステムでは、現行ベンダーの「運用・保守コストが高すぎる」という課題がありました。そのため、RFIを経て、新しい候補先を含めてベンダー3社にRFP出しました。その結果どうなったか。
再び、「現行ベンダー」が選ばれました。
なんと、運用・保守コストは従来の「半分」、さらに今までさんざん指摘していたベンダーの問題点も全て解決する提案でした。問題のあったメンバーも入れ替えるとのこと。
「じゃあ何で今まで改善しなかったんだ!」
という社内の怒りも、当然ながらたくさん噴出しました。それはそうです。今まで搾取されていた説明がつかず、許しがたい(苦笑)。こうした感情面での反対はなかなか扱いが困難です。「信頼できない」と言われると、それは「リスク」だからです。
それでも、提案を受けた3社の中では、最も提案内容が良かったのです。現行業務を熟知している点も、うまくオーダーメイドな提案として盛り込まれていました。
現行ベンダーは、いま契約できている現場を、なかなか劇的に改革することはできません。新しい予算も人的リソースも与えられず、現有戦力の中で、やりくりを強いられるからです。
しかしベンダーを選び直すという強烈な「生存競争」にさらされると、ベンダーも内部から激しい自浄作用が働きます。「今の仕事を失う」という、強烈な危機感が芽生え、会社の総力を挙げて、「新規案件」並みの提案検討が行われます。
つまり、現行ベンダーからの提案は、確実に「現行以上」の提案を受けることが期待できます。よほどの事情がない限り、RFPの提示先の1社は現行ベンダーになるのです。
初期のベンダーリストには、現行ベンダーの名前を載せますが「不戦勝マーク」をつけて、別扱いにしておきましょう。
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RFIの6大メリット
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