「DXについて勉強したいが、お薦めの本を教えてほしい」
最近、よく頂く質問です。

近年のIT戦略においては、どう自社にDXを組み込むかが最大のテーマであり、経営層の関心が高くなっています。

先週も、2社の経営層の方からご質問をいただきました。

考えてみると「DX」という言葉が抽象的で、イメージがフワッとしている感じがします。

人によって考え方が違えば、業界や会社の規模によっても、取り組む施策が異なってくるでしょう。

そのため、その人の置かれている立場や、既に知っている情報によって、刺さる本は違ってくると思います。

それを承知の上で、私が読んできたDX書籍を「個人的な独断と偏見」でご紹介してみます。
(写真は、家の本棚からかき集めてきたDX書籍です。)

参考になれば幸いです。
 

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まずは、書籍名に「DX」がついている書籍から、ご紹介します。

 

DXビジネスモデル(著:小野塚征志)


DXは、まず他社の先進事例を多く知っていることが不可欠。他業種のアイデアを転用することで、DXの計画を創造できる。そういう意味では、国内外の事例をこれでもかと取り込んだ、見開き解説で80事例が載っている本書には価値がある。豊富な事例、それぞれに対する解説と今後の課題が書かれており、多くの示唆が得られる。DXの事例を知りたいなら、本書は必見である。
 

DX革命(編著:大前研一)


オムニバス形式で、各会社のCIOの持論が学べる。やはりDXは他社事例、他業界事例を学ぶことがとても参考になる。書籍タイトルにDXがついているが、DXというよりは、経営改革、大きな変革が重要、という大局的な内容であり、経営層向け。
 

アカン!DX (著:木村 岳史)


木村氏は、IT現場の主役である「情シス」と「ベンダー」について書籍を多数書かれていて、私は全て持っている。現場の取材に裏打ちされたリアルな情報と考察に、情シスに対する示唆を得られ、バイブルである。そんな氏が書いたDX本なので、IT現場の目線でとても参考になる。RPAを皮肉に書かれているところ、SIerの下請け構造に対する耳の痛い提言、IT部門が低く見られている考察、PoCのダメな事例など、身近の「あるある話」が盛りだくさん。現在取り組んでいるDXが総花的だと感じる方に本書をお勧めしたい。
 

いまこそ知りたいDX戦略 (著:石角 友愛)


前半ではデジタイゼーション、デジタライゼーション、デジタルトランスフォーメーションというDXの基本的な概念を、具体的な事例を交えて解説している。が、本書の読みどころは、その後のAIにある。基幹システムの導入が終わり、次のDXステージに向かう企業にはタイムリーは書籍。基幹システムが整備されると、データが蓄積される仕組みが出来上がる。次はそのデータをどう使うか。本書ではそのデータをAIで活用する際の考え方、取り組み方を教えてくれる。本書内で「AI導入は、システム開発に発注して、仕様書通りに納品してもらい、研修をしてもらうといった考え方とは、根本的に違う」と喝破している。アジャイル開発に発想を切り替えるためにも読んでおきたい。
 

イラスト&図解でわかるDX (著:兼安 暁)


事例が豊富で、業種も多岐に渡っている。DXを成功させるには、他社事例を多く知り、さらに他社から刺激を受ける必要がある。本書では、特にグローバルな事例が多く紹介されており、大局的な視点、グローバルな視点から世の中の流れやトレンドを学べる。最後に「経験したことでないから、できるかどうか不安かもしれません。そんなのは、皆同じです。それでもやり続けるかどうかが大切なのです。」と読者のお尻を叩いてくれる。
 

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続いて、書籍名に「DX」がついていませんが、DXを考える上で参考となる書籍を紹介します。
 

戦略質問 (著:金巻 龍一)


DX専門の書籍ではないが、後半にDXについての大きな示唆がある。DXについても、人、プロセス、商品のそれぞれをデジタル化する意識をもつこと。「DXを手段ではなく目的として考えて、とりあえず進めるのもアリ」という言葉は感銘を受ける。「経営資源を集中させるということは、優れた戦略には欠点がある。つまりは、弱点を許容し、そのことにより強化された長所のほうで勝つということである。」というフレーズは、IT戦略を考える上でも金言である。
 

ダブルハーベスト (著:堀田 創、尾原 和啓)


私の中では、AIに取り組む際には必読書であり、AIプロジェクトのバイブルだと考えている。本書の読後は、AIの価値観が変わる。基幹システム整備後の次のステップとしてぜひ読んでおきたい。「競争力の源泉を1つだけつくって満足するのではなく、二重、三重のループをつくって、複数の競争力を築くことである。これこそが『ダブルハーベスト』の狙いであり、デジタルを駆使して会社を丸ごと進化させるDXの1つの理想形といってもいい。そこまでやってはじめて『AIを使いこなした』といえるのだ。」は、耳が痛い。AIを使いこなせたと言える企業がどれほどあるのだろうか。
 

ワークマンはなぜ2倍売れたのか (著:坂井大輔)


本書は、基幹システム整備後に目指すべき「データ経営」の神髄を教えてくれる。データサイエンティストを育てたい、AIがうまくいかない、と悩んでいるCIOや情シス責任者には必読の書であり、多くの示唆が得られる。データ分析というと、つい「AI」や「BI」に飛びつき、ツールを導入することが目的となってしまいがち。しかし本書は、エクセルを徹底的に使いこなし、データとの向き合い方、データ活用の本質を教えてくれる。ワークマンというリアルな事例を具体的に解説しており、臨場感があり、成功していく過程が味わえるため、読み物としても面白い。
 

トランスフォーメーション思考 (著:植野大輔、堀田創)


DX戦略を策定する上で、大きなヒントになる。本当の意味で「トランスフォーメーション」するならば、現行の延長線上にある未来を描くのではなく、遥か先の未来から逆算した計画が必要、という主張はパラダイムシフトを呼び起こす。現行に囚われて曇った思考から目を覚ましてくれる。「30年後を解像度高く描き、常に臨場感をもつこと、ホラーシナリオではなく、壮大な野望を描き、それを実現させたいという熱狂を創り出すこと」の重要性を説いている。DXがうまくいかないのは、プロジェクト計画書に「未来への没入」が足りないのではないかと気づかせてくれる。

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他にもDXについて参考となる書籍はたくさんあると思います。

ぜひ皆さまもいろいろと探してみてください!