ベンダー提案書におけるプロジェクト計画の評価項目は、主に6点あります。

① スケジュール
② 開発手法
③ 移行計画
④ プロジェクトマネージャー
⑤ プロジェクト体制
⑥ ユーザー教育

そのうちの、「④ プロジェクトマネージャー」について解説します。
 

④ プロジェクトマネージャーの見どころ

ベンダー側のプロジェクトマネージャーを誰がやるかは、プロジェクトの成否を大きくわけるポイントとなります。

提案書のクオリティは、ある程度はベンダーとしてフォーマットが標準化されており、いつ提案をうけても安定しています。

一方で、プロジェクトマネージャーは、その「タイミング」に対してアサインするものなので、良いベンダーであっても「アタリハズレ」があります。

プロジェクトマネージャーが「アタリ」であっても、それだけで成功するわけではありません。しかし、プロジェクトマネージャーが「ハズレ」の場合は、そのプロジェクトは間違いなく沈没します。

なぜなら、プロジェクトはベンダー側のマネジメント能力がどの局面でも問われるからです。ユーザーとのコミュニケーション能力、業務理解力、仕様決定能力、ベンダー内部の情報共有力や統制力など、プロジェクトマネージャーの能力を総動員しないと乗り切れないからです。

このプロジェクトマネージャーについて、提案書で確認できるところは「プロジェクトマネージャーの経歴」です。

「今までどんなプロジェクトに関わってきたのか?」を見ていきます。なるべく自分たちと同じ業界・業種の経験があれば、業務知識がそれなりにあり、調整がスムーズにいく可能性が高くなります。

次にプロジェクトマネージャーとしての「年数」を見ます。

通常、経歴の前半は「プログラマー」や「システムエンジニア」としてのキャリアが書かれています。しかしそこは読み飛ばして「プロジェクトマネージャー」としての経験を見ていきます。

なぜなら、プロジェクトマネージャーのスキルは、プロジェクトマネージャーの「実務」でしか鍛えられないからです。もし、大規模で複雑なプロジェクトであれば、新米のプロジェクトマネージャーはリスクが高すぎます。いくらエンジニア経験があったとしても、マネジメントは別物です。

この時点で「PMチェンジ」をリクエストしても良いのですが、そのようなリスキーな提案をしてくるベンダー自体の評価を下げるべきでしょう。
 

プレゼンが本番の確認

ただし、プロジェクトマネージャーは重要な評価項目ですが、残念ながら机上の提案書から読み取れる情報は限られます。そのため、後日開催される「プレゼンテーション」という対面の場で、プロジェクトマネージャーに対して追加の確認をしていくことになります。

そのため、提案書に書かれてある経歴を事前に把握した上で、プロジェクトマネージャーに対する質問を準備しておくとよいでしょう。

その際、王道の質問だけだと「カンニングペーパー」で棒読みされるかもしれないので、踏み込んだ質問、その人の経験や信念がにじみ出てくるような質問も準備することをお勧めします。
 
 

(プロジェクト計画の各項目解説)
【提案評価その4】プロジェクト計画「①スケジュール」をどう読み解くか?
【提案評価その4】プロジェクト計画「②開発手法」をどう読み解くか?
【提案評価その4】プロジェクト計画「③移行計画」をどう読み解くか?
【提案評価その4】プロジェクト計画「④プロジェクトマネージャー」をどう読み解くか?
【提案評価その4】プロジェクト計画「⑤プロジェクト体制」をどう読み解くか?
【提案評価その4】プロジェクト計画「⑥ユーザー教育」をどう読み解くか?

ベンダー提案評価資料の作り方(サンプル画像付き)