2022
5/29
プレゼンのアジェンダをベンダーに提示する
プレゼンの目的が明確である以上、プレゼンはその目的にそった進行をしなければなりません。ベンダーに自由にしゃべらせてしまうと、確認が十分におこなえず、消化不良のまま時間切れとなります。
ベンダーの立場でも、何を中心に、どのようなタイムスケジュールで進めてよいかがわからないと、逆に困ってしまいます。そのため、こちらから何も指定しないと「当日はどのように進めたら良いでしょうか?」と質問がきたりします。
ベンダーとしても、目的やタイムスケジュールがあったほうが準備がしやすく、当日も堂々と話しやすくなります。
そこで、ベンダーから提案書を受け取り、プレゼンの日程を調整するタイミングで、プレゼン当日の「アジェンダ」を提示します。
プロジェクトの性質によって多少のアレンジは必要ですが、基本的には次のようなアジェンダとなります。
アジェンダ(サンプル)
アジェンダ項目の解説
1. 提案書をもとにプレゼン
このアジェンダの重要なポイントは、プロジェクトマネージャーに「しゃべらせる」ことです。そのため「1.提案書をもとにプレゼン」で直接説明してもらう項目をあらかじめ指定しておきます。
なぜなら、放っておくと全部営業の方がしゃべって、全部の説明が終わってしまうことがあるからです。
通常、プレゼンでは営業担当者が同席して、プレゼンの場をリードします。営業の立場としては「見込み客」に対して積極的にコミュニケーションをとることが仕事です。そのため、営業の方が話す時間が多くなるのは、ある程度は仕方ありません。
営業として、会社として売り込みたい部分、宣伝したいページがあることは理解できます。会社の歴史や強み、基本情報などは、むしろ営業が説明した方が分かりやすく、営業も説明に慣れているでしょう。
しかし、油断すると提案書の説明のほとんどを営業の方がやりかねません。
そこで、百歩譲って、営業が話すのは認める。でも、プロジェクトマネージャーの「人となり」も確認したい。
では、どこをプロジェクトマネージャーに話してもらうべきでしょうか?
それが「プロジェクト計画」です。
今後、そのプロジェクトを任せて、ゆだねる相手がプロジェクトマネージャーです。そのプロジェクトマネージャーが、プロジェクト計画を一番熟知していないのはおかしい。
どのように考え、どのような言葉を用い、どのようなトーンや表情で話しをするのか。その計画は具体性があり、自信に満ちているのか。
つまるところ、プロジェクトが始まった後の定例会の「予行演習」でもあります。このプロジェクトマネージャーに任せた場合の、将来のイメージを重ね合わせていきます。
また、プロジェクトマネージャー自身の「プロフィール」を、本人からきちんと説明をもらいたい。紙面上では経歴を盛ることができるので、具体性があるかどうかを、本人の説明で確認していきます。
「開発の進め方」もプロジェクトマネージャーのノウハウや経験がにじみ出るので、具体的に話してもらいます。
近年は、ウォーターフォールではなく、アジャイルやスパイラル開発も一般的になっています。その進め方の説明が具体的かどうかで、本当にやったことがあるのか、上っ面だけではなく、現場で指揮をとってきたかどうかが分かります。
「データ移行」は、プロジェクトの難所の1つです。経験者はわかると思いますが、必ずタフなシーンが訪れます。
現行データの不備だったり、マッピングができなかったり、コード変換やステータスの思想の違いなど、移行は課題のオンパレードで、とても苦労します。
このデータ移行を当事者として経験しているなら、エピソードを交えた説明や具体的に想定するタスクなど、話しのネタには事欠かないはずです。
ここをさらっと表面的な話で逃げるか、力説してくれるかで、プロジェクトマネージャーの力量がにじみ出ます。
それ以外にも、プロジェクトの特性に応じて、プロジェクトマネージャーに確認したいことがあれば、質問を準備しておきます。
例えば、次のような質問です。
「要件定義後の金額の上振れをおさえるために注意するポイント」
「今回、活用するローコードツール○○○の詳細」
「現場個別のやり方やイレギュラー業務をどうやったら標準化していけるか」
ここで、経験に基づく具体的な回答が得られたら、信頼度が高くなります。
2. 画面デモ
「2.画面デモ」ですが、パッケージを想定した項目となります。
スクラッチ開発の場合は画面を見せることが不可能なので、その場合は、この項目は無くして、「1.提案書プレゼン」の方に時間を多く割きます。
この画面デモも、ベンダーに好き勝手にしゃべらせるのはもったいないです。
自由にデモをさせると、そのパッケージの「良いところ」だけしか説明されません。
つまり「印象操作」されやすくなってしまいます。
そこで、どんなデモをやってほしいかを、こちらから指定します。
一番てっとり早いのは、RFPで渡した「業務フロー」のうち、「ここからここまでの流れを画面で操作してほしい」と指定することです。
例えば「入金消し込み」を指定して、「手動で消し込む場合と、自動で消し込む場合の両方を見せてほしい。自動消し込みはパターン登録の方法からやってほしい」など、具体的な注文をつけることが効果的です。
現場ユーザーが自身の業務と重ね合わせることで、導入イメージをしやすくなり、質問も活発になるからです。
3.質疑応答
最後に「3.質疑応答」の時間をたっぷり設けます。
ここで、提案書や当日のプレゼン、画面デモについて、不明点をどんどん聞いていきます。私はたいてい、アジェンダ上ではこの質疑応答を「30分」と指定します。しかし、実際ははるかにオーバーして「60分」コースとなります。
でも、それでも良いと思っています。「30分」という制約を設けることで、質問するメンバーにも自制心がはたらきます。「時間オーバーしてスミマセン~」と、「巻き」で話してくれます。
それに、アジェンダに最初から質疑応答「60分」と書くと、参加者に重たい印象を与えてしまいます。かといって「15分」だと短すぎるので、「30分」がちょうどいいのです。
そのため、全体としてはだいたい「1時間30分」としておき、いつも裏では会議室の予約を2時間で押さえています。
プレゼンも「アップル to アップル」にする
これらをアジェンダとしてメールに書いて、ベンダーに通知しておきます。
事前に伝えることで、ベンダー側は求められていることのみの説明に専念できるので、準備しやすくなります。自社も聞きたいことを効率的に聞けて「アップル to アップル」で評価もできるようになります。
つまり「Win-Win」となります。
ベンダーにプレゼンをお願いする際は、必ず事前に「アジェンダ」を伝えるようにしましょう。
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【プレゼン評価3】プロジェクトマネージャーにどんな質問をするか?
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