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情シスにとってのアウトソーシングのメリットとは?

2024

10/02

情シスにとってのアウトソーシングのメリットとは?

人手不足

「情シスはアウトソーシングを積極的に行うべきですか?」

ある現場で「情シス組織戦略」を策定中です。情シス部長が、今後の情シスの「あるべき姿」を考えています。

現在、情シスは8名います。ところが、今後やりたい役割を考えると、人がどうしても足りません。

そこで、情シス部長は「アウトソーシング」を検討しています。

情シスにとって、アウトソーシングは行うべきでしょうか?

今後はさらに人が足りなくなる

情シスの社員だけで、全てを対応できれば理想的かもしれません。

しかし、現実には人手が足りません。情シスタスクは多岐にわたります。今後の「攻めのタスク」をやろうとすればするほど、残念なほどパワー不足に陥ります。

現場からのIT要求やDX要望も、日増しに増え続けています。

情シスを増員するため、採用活動は頑張っています。しかし、昨今のIT人材は「売り手市場」で、なかなかよい人材を採用することもできません。

これらの問題を解決する手段として「アウトソーシング」を考えてみましょう。

アウトソーシングのメリット

アウトソーシングのメリットは何でしょうか?

一般的なメリットは、様々あると思いますが、「情シスに特化したメリット」は、重要なものばかりです。

① 人材不足対応

情シスが抱える膨大なタスクをさばくには、人手がいくらあっても足りません。アウトソーシングは、この人手不足を直接解消します。中途採用で社員を増やすにしても、長期的な対応となります。採用までのつなぎとしても、効果があります。
 

② コア業務への集中

限られた社員リソースは、あまりにも貴重です。情シスに求められる多くの役割の中で、より付加価値の高い役割に社員をアサインすべきです。逆に、誰がやっても同じ結果になるような仕事を、社員がやっている場合ではありません。
このような「ノンコア業務」とアウトソーシングは相性がいいのです。アウトソーシングを戦略的に活用することで、情シス社員は「コア業務」に専念でき、「攻めの情シス」へと変貌していきます。
 

③ 専門スキル活用

アウトソーシング先の専門家が持っている、最新の技術やノウハウを活用できます。例えば、希少な「セキュリティ専門家」を社員として雇用すると、相場的に莫大な年俸を支払わないといけません。さらに、仮に雇用した場合、最初は活躍するでしょうが、徐々に専門性が薄れていきます。なぜなら、専門家とは、他社事例に多く精通し、多くの現場で課題を解決し、その業界の最前線で常にアップデートし続けているからこそ、専門家なのです。変に社内で囲い込むと、その専門性は薄れていきます。
IT・デジタルの技術領域は、激しく移り変わります。限りある社員が、常に時間と労力をかけてアップデートし続けるのは、現実的ではありません。必要なときに必要な分だけ、専門家の最先端ノウハウを活用するのが合理的といえます。
 

④ 繁閑調整

情シスのタスク量には「波」があります。常に忙しいのですが(苦笑)、普通に忙しいときと、首が回らないぐらい忙しいときがあります。時期によって変わります。
もし、忙しさのピークに合わせて、社員を増やしたらどうなるのでしょうか?その時は良いのでしょうが、タスクが落ち着いてきたときに、情シスが余剰になります。社員を一度増やすと、簡単には減らせません。仕方なく、暇にならないよう情シスの余剰メンバーに無理やりタスクを割り当てます。
すると、どうなるのでしょうか?
本来はやらなくてもいい、IT戦略とは無縁の「価値の低いタスク」を頑張るようになります。最悪なのは、手放したはずの「ノンコア業務」を巻き取り、キッティングやヘルプデスク対応などをのんびりと時間をかけるようになります。
すると、図体だけデカいけれども、全体的に保守的で機動性のない情シスが出来上がります。会社として過度な固定費(人件費)を多く抱えることになります。すべてを自前でやろうとする場合は、常にこのリスクを抱えます。
一方、アウトソーシングは、情シスの繁閑を都合よく調整できる手段なのです。必要に応じて契約し、必要がなくなれば契約を延長しないだけです。最低限の社員は確保しつつ、変動性のある部分はうまくアウトソーシングを活用し、組織としての柔軟性を持たせるべきです。
 

⑤ 出力最大化

野心的なIT戦略を実行していくためには、実に多くのタスクを同時並行でさばく必要があります。情シスの社員だけでは、到底不可能です。社員だけでやろうとするなら、IT戦略を大幅に下方修正するしかありません。そうしたくないからこそ、アウトソーシングなのです。
ノンコア業務はもちろんですが、専門性が求められる領域でも、アウトソーシングは活用できます。
情シスという組織を社員だけで捉えると、そこまで多くのことは実現できません。しかし、外部リソースも情シスの「拡張組織」と捉えるならば、情シスの体制はいくらでも拡張できます。
つまり、アウトソーシングを活用することで、情シスのパフォーマンスを最大化できるのです。

情シスを強くする武器

「自社にとって効果的なアウトソーシングとは何か?」

情シスを強くしたいのなら、ぜひ検討してみましょう。

アウトソーシングは、人手不足を解消し、専門ノウハウを活用できます。自前で試行錯誤する時間をショートカットし、時短にもなります。何よりも、情シスがコア業務に集中し、攻めることができます。

アウトソーシングは「必要に迫られて」という側面もありますが、戦略的に用いることで、情シスを柔軟に「拡張」できます。むしろ、情シスを強くし、成長していくための「武器」にもなりえます。

貴社の情シスは、「アウトソーシング」を戦略的に活用していますでしょうか?

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御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか

情シスコンサルタント
田村 昇平

情シス(IT部門、情報システム部門)を支援するコンサルタント。

支援した情シスは20社以上、プロジェクト数は60以上に及ぶ。ITベンダー側で10年、ユーザー企業側で13年のITプロジェクト経験を経て、情シスコンサルティング株式会社を設立。

多くの現場経験をもとに、プロジェクトの全工程を網羅した業界初のユーザー企業側ノウハウ集『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』を上梓、好評を得る。同書は多くの情シスで研修教材にもなっている。

また、プロジェクトの膨大な課題を悶絶しながらさばいていくうちに、失敗する原因は「上流工程」にあるとの結論にたどり着く。そのため、ベンダー選定までの上流工程のノウハウを編み出し『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』を上梓し、情シスにインストールするようになる。

「情シスが会社を強くする」という信念のもと、情シスの現場を日々奔走している。

著書の詳細は、こちらをご覧ください。