2018
8/22
世の中のIT部門に共通する悩み
「ウチのIT部門はモチベーションが低くて困っている」
いろいろな企業のIT部門/情シスの責任者に「お困りごと」を尋ねると、ほとんどの方から返ってくる答えです。世の中のIT部門の悩み「TOP3」に入るのではないでしょうか。私の感覚的には、大企業ほどこの傾向が強いと感じます。
具体的な理由は以下のようです。
・受け身で、言われたことしかしない
・仕事を依頼しても、忙しいと断られる
・前向き、積極的な提案がない
このようにIT部門のメンバーからネガティブな反応があるため、モチベーションが低いと感じるのでしょう。
このような場合、どのようにモチベーションを上げて行けばよいのでしょうか?
そもそも、社員はモチベーションが低いのでしょうか?
モチベーションの背景
ある企業のIT担当役員から「IT部門のモチベーションを上げてほしい」と依頼を受けました。
そこで、「IT部門は変化しないと生き残れない」と私がミニセミナーで危機感を煽った後、IT部門の全員で「ディスカッション」をしました。
ディスカッションのテーマは
「IT部門で変えていきたいこと、変えていくべきこと」
です。10分間の考える時間を設けた後、各自に発表していただきました。
その結果に、私は衝撃を受けました。
モチベーションが低いと言われていた社員から、改革のアイディアが次々と飛び出してきたのです。皆さん熱く語っていました。
手元のWordをプロジェクターで映しながら、私は発言を記録していきます。3ページ以上に渡り、びっしりとアイディアが埋まっていきました。
その中で多かったアイディアは以下の通り。
・IT部門としてのビジョンを作る
・IT部門の役割を再定義する
・キャリアパスや評価基準を整備する
・担当業務や担当システムのローテーションを計画する
・運用監視など単純作業はアウトソースする
これらには共通点があります。何でしょうか?
それは、これらの仕事は全て
『IT部門の責任者が行うべきもの』
ということです。
つまり、現状を生み出している原因は、責任者にもあったということです。
上から見る景色と下から見る景色は違う
モチベーションはあっても、その向き先が決められていなければ、各自がバラバラの方向を向いてしまいます。非常にもったいないことです。
目指す方向を見失えば、有り余ったエネルギーが責任者の望まぬ方向に使われてしまいます。方向性のギャップから、責任者と社員で摩擦が生じます。やがて、部への批判や責任者への不満へとつながっていきます。
IT部門の責任者には、「モチベーションが高まるようなIT部門の設計」が求められています。
貴社では、IT部門のモチベーションが下がっていないでしょうか?その場合、責任者としてやるべきことがまだ残っていませんでしょうか?
コラム更新情報をメールでお知らせします。ぜひこちらからご登録ください。
情シスコンサルタント
田村 昇平
情シス(IT部門、情報システム部門)を支援するコンサルタント。
支援した情シスは20社以上、プロジェクト数は60以上に及ぶ。ITベンダー側で10年、ユーザー企業側で13年のITプロジェクト経験を経て、情シスコンサルティング株式会社を設立。
多くの現場経験をもとに、プロジェクトの全工程を網羅した業界初のユーザー企業側ノウハウ集『システム発注から導入までを成功させる90の鉄則』を上梓、好評を得る。同書は多くの情シスで研修教材にもなっている。
また、プロジェクトの膨大な課題を悶絶しながらさばいていくうちに、失敗する原因は「上流工程」にあるとの結論にたどり着く。そのため、ベンダー選定までの上流工程のノウハウを編み出し『御社のシステム発注は、なぜ「ベンダー選び」で失敗するのか』を上梓し、情シスにインストールするようになる。
「情シスが会社を強くする」という信念のもと、情シスの現場を日々奔走している。
著書の詳細は、こちらをご覧ください。